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Japan Pavilion: 15th International Architecture Exhibition 2016 – Venice Biennale
常山未央

常山未央

「縁(en)」というテーマについてどのように考えて参加されたのでしょうか。

常山|「不動前ハウス」は7人の他人同士が住む家です。目黒駅から徒歩10分の都心に近く、川と山手通り、東急目黒線という大きなインフラに囲まれた環境で、他人、家族に関わらず、どう人と豊かに共存できるかを考えました。

それは「縁」の建築でいう、「ふち」をうまく調整することだったように今は思います。

「不動前ハウス」はリビングと個室群が屋外階段で繋がれています。新築だと不便なので積極的には外部に階段はつくらないと思いますが、既存がたまたまそうであるので、仕方ないか、という判断になります。既存の持つ特性のおかげで一度外に出る動線が家の中に生まれ、外と中の「ふち」がフィジーになり、家の生活が必然的に外へ染み出して行きます。そういうたまたまを「縁」という言葉で許容してしまう緩さが日本のまちにはあり、それが思いがけなく生活を楽しくしているように思います。

現在はベンチャー企業に勤める女性や、大使館に勤める人が住んでいます。そういった、普通よりもちょっとハイソな人たちが、工場のようながらんとした鉄骨むき出しのリビングで、寒い中ダウンジャケットを着こみ、ブーツを履きながら料理をしたり、雨の中屋外階段を上下している様子を見ると、今まであった価値観とは別の住み方をしているように思います。不動前ハウスの家賃は周辺のワンルームマンションとさほど変わりません。もっと安い金額で同じ地域に住むことも可能だと思います。住むことに対する価値観を変えたのは、「人の縁」「物の縁」「地域の縁」から成る、楽しく緩い生活を支える、建築への信頼のように思います。

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